「和食を食べない日本人?!」 ― 発酵食品はなぜ今再び、注目されるのか? -Part 2

January 27, 2018

 (Part-1からつづく)

 

 

現在、40代までの日本人に「朝食は和食ですか?」、「朝食には3つ以上の食材を食べていますか?」と聞くと、おそらく多くの人が「No」と答えるだろう。ましてや、「朝食はお味噌汁とご飯を食べていますか?」、「そのお味噌汁の出汁は昆布やかつお節から出していますか?」などと聞けば、「まさか!」と答える人も多いのではないだろうか?

 

 

市場に食品はこんなに増えている。全国に5万軒以上あるコンビニに行けば、ほとんど何でも揃っていて、手軽に購入できる。飽食の時代になり、あらゆる食品が手軽に楽しめるようになった。しかし、料理研究家の大瀬由生子さん(Part1 参照)は言う、「もはや母親の手作りの味は消滅して、『おふくろの味』が『ふくろ(袋)の味』に変貌してしまったと言われるくらいです」と。昔の和食はどこへ行ったのだろうか?

 

和食のヘルシーさが日本国内で見直されているのは、せいぜいここ10-15年くらいのことで、それも日本に「ヘルシーな食事」として逆輸入の形で伝わってきたのがきっかけだ。

 

学校給食もここ40-50年、多くの学校ではパンと牛乳が中心。米の消費量は1962年には一人当たり年間118kgだったのに、2005年にはその約半分の61kgにまで減っている(*3)

 

米食が減る一方で、パンやパスタの消費比率は増えている。世界では和食ブームが起こっているというのに。

 

大瀬さんが、現代日本の食生活を改善したいと模索する中で行きついたのが、伝統的な日本の発酵食品。どうにかして日本人の食生活を改善できないものか、と模索した結果が、それらを使った、作りやすく食べやすい食事の提案と食育だった。

 

「発酵が日本の食卓を支えてきたんです。食生活は、健康になり豊かに生きることのベースです」と大瀬さんは言う。「今、健康が損なわれています。医療費はうなぎ登りで、薬漬けの人も多いです。精神的な苦しみにあえぐ人も増えています。だからこそ、昔ながらの発酵食品が救世主になってくれると思っています」と。

 

 

しかし、その昔お母さんが割烹着を来て台所に立ち食事を作ってくれていた頃と同じ食生活、各家庭で味噌を作り手前味噌が普通だった食習慣を、今再現することは物理的に難しい。そこで、「できるだけ今の時代に合うような発酵食品を取り入れた提案しているんです。日本人にもっと和食を食べてほしいからです」と大瀬さん。コメスタの醤油イタリアンもこの想いの延長線上にある。

 

因みに、日本の伝統的な発酵食品とは、醤油、みりん、味噌、酢などの調味料から、納豆、豆腐、漬物、かつお節などの食品まで幅広い。糀菌を使って発酵させることで、うま味が増すだけではなく、血圧を上がりにくくしたり、整腸作用があると言われている。

 

例えば、広島大学が行った研究では、味噌は糖尿病や肥満の発生を抑えたり、腸をきれいにするという結果が報告されている。(*4) 日本人が過去30年以上にわたり、あまり見向きもしなかった、わゆる「粗食」に国民の失った健康を取り戻す鍵が隠されているかもしれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、昔のままの食事の再現が難しいとしても、今風にアレンジすることで発酵食品の消費は増えるはずだ。大瀬さんは、今の時代にあった発酵料理として、例えば、グラタンのホワイトソースに白味噌を入れてコクを出し、茄子と太ネギで野菜の 自然の甘みを引き出した「茄子と白味噌のグラタン」、パンケーキミックスに甘酒を入れた「甘酒のパンケーキ」、野菜をたっぷり食べられるディップソースに甘酒と味噌を混ぜ込んだ「甘酒味噌のディップ」などを開発した。戦後日本の食生活に大きな影響を与えた西洋の食べ物と伝統的な日本の食べ物を上手く併せ、家庭で簡単に作ることができ、しかも食べやすいメニューを大瀬さんは数多く考案している。

 

写真:大瀬さんが開発した発酵食品を取り入れた和食メニュー

甘酒キーマカレー(左上)、塩麹のごまだれうどん(右上)、塩麹トマト味噌パスタ

 

 

食べるものが私たちの体をつくっている。数十年かけて失ったものをすぐに取り戻すのは難しいかもしれない。けれども、発酵食品をはじめとする和食に日本人がもっと意識を高め、知識を増やせば、美味しく楽しく食べつつ、ゆっくりとでも良い変化をもたらすことができるかもしれない。

 

実際、発酵食品への注目はここ数年で急激に高まっている。海外にも日本食は急激に広まっていて、それ自体は喜ばしい。一方、和食は、ラーメン、天ぷら、焼き肉、回転寿司だけではないことも外国の人にはぜひ知ってもらいたい。和食の本質は別のところにある。

 

今、食生活の何かがおかしいと気づき始めた日本人が求めている答えが、もしかしたら発酵食品なのかもしれない。

 

そしてそれは、国境を越えて、世界の健康的な食文化に貢献できるかもしれない。今、和食の発祥地日本では、大瀬さんのような発酵食品研究家の活躍が期待されている。

 

 

写真提供:大瀬由生子

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*3:http://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/pdf/data01.pdf

*4:「味噌力」広島大学名誉教授・理学博士・医学博士 渡邊敦光著(2012年、かんき出版)マウス実験によるデータ。

 

 

 

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キャリヨンLLCは、糀マイスターと食養アドバイザーの視点から、「糀かねのね」ブランドで、日本の米糀をもとにした発酵食養とその結果としての「ポジティブ・エイジング」について提唱し、お伝えする会社です。

 

「日本から」を志として、日本の地方にある小さな工房や伝統蔵の糀・発酵文化を、国内はもとより海外に伝えていくことを使命としています。

 

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